プロファイバーの開発

プロファイバーとは

酒粕中には、米・米麹・酵母に由来した多くの栄養成分が含まれ、これまでの研究でも様々な生理機能が報告されており、機能性食品素材として高い潜在能力を有しているといえます。 大関株式会社とヤエガキ醗酵技研株式会社の共同研究チームは、酒粕に含まれるレジスタントプロテイン(難消化性タンパク質)を始めとする複数の食物繊維様の成分に着目し、これらの難消化成分を複合的に含有する新規な機能性食品素材「プロファイバー」の工業的製造法を開発しました。

プロファイバーの製造法とその特性

酒粕に食品用酵素剤である糖化酵素とプロテアーゼを作用させるとともに清酒酵母で25℃、3日間発酵させて、酒粕に残存する栄養素を低減させることにより食物繊維(DF)とレジスタントプロテイン(RP)から成る難消化成分を濃縮しました。その結果、プロファイバーは酒米よりもRPで約13倍、DFで約57倍、RPとDFの総和で約23倍含有量が増加しました。

プロファイバーの生理機能

脂質代謝改善効果

5週齢の雄性SDラットを1群5匹に群分けし、試験試料はプロファイバー中のタンパク質及びDF含量を測定して、対照飼料中のカゼインとセルロースの割合に置き換え、更にコレステロールとコール酸Naを添加したものを自由摂取させました。試験期間中の飼料の摂取量は群間において差は認められませんでした。3週間後に解剖し、酵素法で脂質レベルを測定した結果、飼料中へのプロファイバーの含量が増加すると、血清及び肝臓総コレステロール(TC)が濃度依存的に低下することが確認されました。また、プロファイバーを与えると糞の排泄量が濃度依存的に増加し、脂質の体外への排泄効果も確認されました。

肥満改善効果

5週齢の雄性SDラット20匹に牛脂を30%含んだ飼料を30日間与えて肥満を誘発させました。その後、群間で体重が同等となるよう群分けし、試験飼料を自由摂食させた対照群とプロファイバー中のタンパク質、DF、脂質含量を試験飼料中のカゼイン、セルロース、コーンオイルの割合と置き換えた実験試料を自由摂取させた実験群の2群で飼育しました。試験期間中の飼料摂食量は群間において差はありませんでした。35日後に解剖し、脂肪重量および筋肉(腓腹筋)重量を測定した結果、肥満誘発後にプロファイバーを与えると腸管膜脂肪、腎周囲脂肪、精巣周囲脂肪のいずれも対照群と比べて脂肪量が減少したのに対して、筋肉重量の減少は認められませんでした。また摘出した脂肪組織を電子顕微鏡で観察したところ、プロファイバーを与えたラットの脂肪細胞は対照群に比べて肥大化が抑制されていました。

肥満抑制機構の解析

肥満抑制メカニズムの一端を解析するため、投与試験終了後、血清中のアディポサイトカインの分析と肝臓の脂肪酸合成系酵素の活性を測定しました。 その結果アディポサイトカインでは、プロファイバー摂取により、脂肪細胞の減少と正の相関関係を示すレプチンが減少傾向にあり、脂質代謝の改善に働くとされるアディポネクチン量が有意に増加していました。また、脂肪酸合成系酵素活性は、リンゴ酸酵素、G6P 脱水素酵素の両者ともプロファイバー摂取による有意な酵素活性の低下が確認されました。以上の結果より、プロファイバーを摂取すると糖質、脂質などの栄養素が小腸内で緩やかに吸収され、代謝が緩やかになることで脂肪酸合成系酵素の活性も同時に緩やかになり、その結果、脂肪細胞の肥大化が抑制され、アディポネクチンの産生が向上したと考えられます。また、アディポネクチンの産生が向上することでも脂肪酸合成系酵素の活性を抑制するのでプロファイバーの摂取で、生体での脂肪蓄積における歯車が抑制の方向に向いたため肥満抑制効果を示したものと推測しています。食物繊維様効果としてダイレクトな脂質の排泄とあわせこれらのメカニズムにより肥満抑制作用が得られると考察しています。

参考資料

  • 湯川雅之、峰時俊貴、伊藤大輔、広常正人、渡辺敏郎、井上美保:
    植物由来の難消化性成分高含有素材.特開2008-189625
  • 湯川雅之、伊藤大輔、峰時俊貴、渡辺敏郎、広常正人:
    酒粕を原料とした難消化成分の製造とその性質.醸協 2009 104(12):963-968
  • 渡辺敏郎、峰時俊貴、友竹浩之、加藤範久:
    二段醗酵法で生まれたメタボリックシンドローム対応の新素材「酒粕難消化成分」.
    FOOD Style21 2007 11(12):51-54
  • 渡辺敏郎、井上美保、湯川雅之、峰時俊貴、友竹浩之、広常正人、加藤範久:
    酒粕からの難消化成分の脂質代謝改善作用.日本農芸化学会2007年度大会、東京、2007
  • 湯川雅之、峰時俊貴、井上美保、渡辺敏郎、友竹浩之、広常正人、加藤範久:
    酒粕難消化成分の肥満抑制効果.平成19年度日本生物工学会大会、広島、2007
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